公開シンポジウム「2024年度トランスナショナル?シネマ?シンポジウム」
INFORMATION
2024年トランスナショナル?シネマ?シンポジウムは、『張律×尹東柱—境界を超える言葉と記憶』というテーマで、張律監督の「東アジア映画」で現れるトランスナショナリティと「境界の破壊」の映像美学、そして映画モチーフである尹東柱の詩が東アジア地域の住民が共有する歴史的記憶として持つ意義を考察することを目的とする。張律氏は21世紀の東アジアを代表する映画監督の一人であり、アジア各国のスタッフやキャストと協業しながら、中国?韓国?日本の地方都市を舞台に異文化の融和や共生を表現してきた。本シンポジウムでは、張律監督の『福岡』(2019)および『群山』(2018)という2作品の上映に加え、張律氏と『中国朝鮮族を生きる——旧満州の記憶』の著者である戸田郁子氏、株式会社フォギー(映画配給会社)CEOの今井太郎氏による座談会を行う予定である。
当講演会は、学部公開講演会『言語と社会や文化を<つなぐ>:世界と切り結ぶ異文化コミュニケーション』の一環として開催します。
講師
映画監督
張 律 氏
21世紀の東アジアを代表する映画監督の一人。1962年に中国の吉林省延辺で朝鮮族3世として生まれた。延辺大学中国文学科を卒業後、同大学で中国文学の教員となった。その後北京に拠点を移して小説家としてのキャリアをスタートした。主な作品として、『キムチを売る女』(2005)、『境界』(2007)、『豆満江』(2009)、『風景』(2013)、『慶州』(2014)、『フィルム時代の愛』(2015)、『春夢』(2016)、『群山』(2018)、『福岡』(2019)、『柳川』(2021)、『白塔の光』(2023)がある。最新作『白塔の光』がベルリン国際映画祭コンペティションに入選。三部作『群山:鵞鳥を咏う』、『福岡』、『柳川』は、韓国?中国に加えて日本の市民が制作に関わり、福岡との国際文化交流の成果として高く評価され、第33回「福岡アジア文化賞芸術?文化賞」を受賞した。
作家、翻訳者、編集者
戸田 郁子 氏
在韓歴は30年余り。仁川で、百年前に建てられた日本式木造住宅を再生した仁川官洞ギャラリーを運営中。愛知県豊橋生まれ、学習院女子短期大学卒。1983年からソウルに留学し、高麗大学で韓国近代史を学ぶ。1989年に中国ハルビン黒龍江大学で中国語を学び、中国朝鮮族の移住と定着の歴史研究をライフワークとする。中国暮らしは8年余り。著書に『東柱の時代』(2022)、『中国朝鮮族を生きる 旧満洲の記憶』(2011)、『ふだん着のソウル案内』(1988)など多数。
株式会社フォギー CEO
今井 太郎 氏
Los Angeles City Collegeで映画製作を学んだ後、資金を貯める為に自動車会社や商社に10年間勤務。2015年に大阪市の助成を受け製作したインディペンデント映画『見栄を張る』が国内外の映画祭で受賞し、国内とタイで劇場公開された。2018年にハラキリフィルムズ合同会社を大阪で設立し、EAVE Ties That Bind、Talents Tokyo、Rotterdam Lab、Asia Pacific Screen Lab、SEAFIC x PASなど多くの国際共同製作ワークショップに招待され、グローバルなネットワークを構築。2018年には日本人として初めて、釜山アジア映画学校に韓国政府の奨学金をもらい留学した。2021年には16mmフィルムで10年かけて撮影する映画『刻』のクラウドファンディングで新人監督、無名キャストの映画としては日本史上最高の1179万円を達成した。国内外の若手監督達と国際共同製作映画を企画開発する傍ら、2021年に新たな配給会社、株式会社フォギーを福岡で立ち上げる。
詳細情報
名称
内容
12:30~12:50 入場
13:00~13:10 開会挨拶
第1部上映会
13:15~15:20 上映①『群山』(2018)
15:35~17:00 上映②『福岡』(2019)
17:00~17:20 中間休憩
17:20~18:50 第2部座談会?Q&A:張律氏、戸田郁子氏、今井太郎氏、イ ヒャンジン
18:50~19:00 閉会挨拶